10年前、ブラックバイトにつかまってた。
当時はブラック企業とかブラックバイトなんて言葉はなかった。今でいうブラックバイトだったなとおもう。
田舎から10年前に上京してきて、友人と文芸活動をしようと意気込んでた。
東京でないとできないバイトをして生計たてようと思って、いろいろ探しまわって、自宅から近い音楽スタジオで働き始めた。
わたしはレギュラー勤務をすること自体初めてだった。最初はやったことないことばかりで覚えることで必死。
いま思えばなにも考えられてなく、言われることをただただ一生懸命に実行してた。
気づけば勤務体制は、午前中に出勤して、その日の深夜から次の日の早朝まで。その日のスタジオの予約が入ってる時間まで。最大で翌朝の6時まで。
1人体制なので休憩はなし、客の切れ目にパンをかじって食事をとる。
わたしはスタジオ業務に加えて、併設の中古レコード店業務も任されていたので、スタジオの店番をしながらメール対応、在庫をネットにあげる作業。
ある日の勤務体制。
午前9時40分頃、音楽スタジオを開店。
ひとりで掃除、準備、出勤確認の電話をオーナーに。
午前10時、予約のお客さんを迎える。
午前11時、ヘルプの他店スタッフと交代、レコード店を開店。
接客、売り場管理、ネットにCDアップ作業、売れたCD、LPの梱包、発送など。
1人体制なので隙間をみて食事。
午後8時、レコード店を閉める。
ふたたび他店のヘルプスタッフと交代、音楽スタジオに入る。このタイミングで夕食を買ってくる。
今後、予約がある時間まで1人体制で営業。予約受付、利用受付、窓口で雑貨の販売、部屋入れ替え時の案内。
朝5時半 お客さん帰宅。
お客さんが帰ったあと、掃除、売り上げ計算、オーナーへの報告など。
午前6時過ぎ、帰宅。
記録上、実働19時間半
お客さんの予約が入ってる時間までのみ時給が出るので、掃除の時間など、オーバーしてる時間はカウント外。
時給は当時でも最低賃金を下回る750円。
無給で、ときどきオーナーの個人面談に付き合わされる。内容は自分語りか説教。
深夜に業務終わってからや、休日に呼び出されて食事に連れていかれることも。
オーナーがスタッフにキレて人格否定するようなことを口走ることもしばしば。
いちばん目の敵にされてたスタッフは、遅刻が多いとの理由で強制的にスタジオで寝泊まりさせられていた。
昼ごろに出勤して、その日の深夜1〜2時くらいまでというのが多かった気がする。1日実働14時間くらい。
それで週休2日、有給はもちろんなし。
自分の活動をする時間などとれない。
というかそんな気力がない。
辞めると言って揉める気力もなくて、ただ働き続けて、逃げることもできなくて、誰か殺してくれないかなと思ってた。
10年前なのに思い出すと疲れる。